煮物/
千波 一也
煮物の味は
素朴であるけれど
素朴であるがゆえにこそ
むずかしくて
奥深い
ごらんなさい、
たけのこと
さといもと
しいたけと
なんの疑いもなく
一緒くた
わたしは
素朴に生きたいけれど
素朴に生きるということは
言葉でいうほど
たやすくない
あこがれも
とまどいも
いつわりも
どろどろになって
一緒くた
箸をほんのり湿らせる
やさしい光りに
煮物を嗅いで
わたしは
優しく
優しさをはむ
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