夏のヴェランダから/瑠王
 


  昨日までが別の人生だったように
  たった今生まれたんじゃないかと、時々思えて
  夢中になる だけど大気が首を振っている

正体も明かさずに去ってゆく懐かしい香り
両手がとらえようとしても
遠くで見ている陽炎が意識を惹きつける

  (こんなにも晴れているのに水の中みたい)
  (だったら青い炎の方がいいかな)
  (いいの、だって夏だから)

遠くのヴェランダで風鈴が鳴る
  
  (アイスのアをとって 少し休む)
  (アイスのイをとって その先へ向かう)
  (アイスのスをとって 思い出す)
  でも気づいた頃には溶けてしまう

夏のヴェランダ 安らう日
 
  (見えるかな)
  (何が?)
  (花火、だって夏だから)


戻る   Point(4)