夏のヴェランダから/瑠王
昨日までが別の人生だったように
たった今生まれたんじゃないかと、時々思えて
夢中になる だけど大気が首を振っている
正体も明かさずに去ってゆく懐かしい香り
両手がとらえようとしても
遠くで見ている陽炎が意識を惹きつける
(こんなにも晴れているのに水の中みたい)
(だったら青い炎の方がいいかな)
(いいの、だって夏だから)
遠くのヴェランダで風鈴が鳴る
(アイスのアをとって 少し休む)
(アイスのイをとって その先へ向かう)
(アイスのスをとって 思い出す)
でも気づいた頃には溶けてしまう
夏のヴェランダ 安らう日
(見えるかな)
(何が?)
(花火、だって夏だから)
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