ら・せん か・せん/竜門勇気
 

月夜にあのこは変化する
みまたの槍もつライオンに

紙で包んだ かみそりを
ぼくに渡してくれたけど

いつまでまっても、どこからも
一粒の血さえ滲まない

猫にまじないかける時
ぼくは彼女に見とれてた
カトレアの葉を一掴み
喉に圧しこみ笑ってる
ぴょんとひと跳ね天空へ
落ちてったっきり帰らない
あのこの背中に乗っかって
絵の具の色をかぞえたい

カエルのくちびる触れた手で
あのこの額に文字をかく

紙で包んだ かみそりは
けっきょく錆びてて使えない

ふたりの儀式がおわるまで
きれいな石をあつめよう

くびれた月から飛んできた
知らない誰
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