色覚細胞/秋桜タチバナ
 
 闇に溶けてく
 
 もしかしたら、「僕」は居ないのかもしれない。
 
 様々な波長をその感覚細胞で捕らえながら
 「僕」というものを形作っていく。きみのなかに。
 
 もしかしたら、「僕」は存在していないのかもしれない。
 
 その目で、その耳で、その手で
 その記憶で、

 きみのなかの僕はどんな「ぼく」?
 
 わらいごえが、のこればいい。
 えがおが、みえててほしい。
 
 僕のなかの君は、どんな「きみ」?
 
 混沌としたくろいあなに、捨てられてしまわないように。
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