パラララララ…/北街かな
 
雲から降下してみたけどパラシュートが開かないよ

だいすきだった人形を捨て 騒がしい街にさよなら
必死の両手も振りほどき
過去の夢には 泣いてすがって

霧の兆しに合図する手を排ガスに感染させたまま
闇夜の海に水没したんだ
すべての影を引き連れて 夢魔になり
浮かんでみせるために

見知らぬ変異が音素だけで構築されたまま
月の直下にあらわれている
線香花火が土に生え 無縁仏に添えられたまま
ひとつさみしく燃え立ちすくむ

雲から降下してみたがパラシュートは開かなかった

月見の花がそよいでいる
研ぎたてのナイフみたいな風のなかで
こころとからだのばらばらにな
[次のページ]
戻る   Point(5)