再会〜それから/小川 葉
参ります
注文はなくなった
それでも時々遠い島から注文がきた
やがて常連になったそのおばあちゃんからの注文は
いつも一本ずつだったけど
話し相手が欲しいだけだったから
もはやロイヤルスペシャルブレンドも
きんきんに冷えていることも
どうでもよくなった
やがてその島で
自動販売機の友人夫婦は暮らすことにした
おばあちゃんのふれこみで
ロイヤルスペシャルブレンドはたいそう売れた
夜は売れなかった
二人ならんで赤く灯る二人には
さすがに誰も近づくことができなかったからだ
二人から手紙が届いた
コカコーラの自販機の真似をして
からだを赤く染めて
売れると思
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