神は檸檬の匂いがする(完全なるフィクション)/ゆりあ
 
た乳首は桃色に染まっている
私は自分の首に下げてある十字架のネックレスをぎゅっと握りしめた
「ねぇお兄ちゃん、イエスはマゾなの?」
くだらないけど前から思っていたことを訊く
「さぁな。マゾかもな。」
兄は構わずシャッターを切る

私はなぜだか神聖な気持ちになり少しも抵抗せずに背中をちょっと沿って、得意げに体をカメラに向ける

安物のロザリオが銀色の人工的な光を放つ

しばらく写真を撮った後空がまるでカメラのフラッシュのごとく数回光り地上に鋭い稲妻が落ちた
私は力が抜けてガクンとだらしなく跪き意識を失った

後日出来上がった写真を二人で見た
兄は写真を見て「死ぬほどきれいだ」と言っていた

私達は神との秘密の約束を守り続けるの

7月の夜に檸檬の匂いがしたら

それは神が近付いてきた証拠だよ
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