草刈り/小川 葉
 
 
 
知らないことは
罪ではない
知らないふりをするだけで
憎悪に気づかずに生きていける
わたしたちの
暮らしもあるけれど

あるいは
あった
とも言える
今あるものは
すでにないということだ
幸せも不幸せも
気づいた頃には
後悔ばかりしてる
過ぎてしまった日々と
これから過ぎていく
日々の隙間で
わたしたちは

たとえ知ろうとして
知ったとしても
知らないことの方が
はるかに罪は軽いのだ

何も知らずに
お墓のまわりに根を張る
雑草が去年よりも増えている
ゆるされた罪の
償いの数だけ
草を刈る
 
 
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