サイエンスフィクション・オールライト2/竜門勇気
べらべらべら。ごきげんな音だ。けつを拭く紙にもならないが、まともな本にも使えないような出来損ないの紙切れの束がめくれる音だ。
ユーズドの捨て台詞と共に床に落ちたままの俺の右目がたどり着いた場所はページの表紙裏、ゴミ屑でできた脳ミソで書き上げたと思われるお決まりの「人物紹介」だ。
どうやら俺は「ゴミ屑でできた脳ミソを持つ作者の本の中の世界」「薄ぎたねえパルプ・フィクション」そういった中にいるらしい。
ここにも腐ったキャベツに群がるコバエのように銀の移民どもががっついている。どきやがれ!怒鳴り声を上げると機嫌を伺うように連中はその身を引いた。しかし立ち去ったわけではなく、機会を狙うように蠢き
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