そこでこっそり聞いているのは誰だ/mac
だれる
うなだれる
母は自分でもうペットボトルの蓋も開けられないのに
私の掃除の仕方に文句を言う
若い時に肺結核で肺の一部を切除したから
母は水に入れない
息苦しくて
子供の頃は暑い中日傘でプールサイドに佇む母を
少し寂しく思った
それでも元気に過ごしてきたのに
またわけのわからない難病で
体の痛みで眠れず睡眠薬に頼る日々
人より弱いその身体で人よりたくさん働いてきた
でも運命は母を襲い続ける
痩せ細った母の気丈な語り口は
安心にも繋がるから別に構わない
ただ、何かのカウントが数えられているようで
すごく嫌だ
母の手はさらに痩せ細
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