まぶたから/木立 悟
まだらに重いまぶたの道
雨の折り目
額のしずく
まぶたの奥を巡る音
まばたきのたび
出ようとするもの
入ろうとするものが
宙に光の柱をつくる
ひとつ 手が
額を まぶたを押し
そのまま空へ消えてゆく
音の無いかたちとつらなり
首のまわりを巡る輪が
羽と蜘蛛をくりかえす
黒と黄の鳥
曇の奥の背にとまる
終わらぬ壁が野に終わり
星は水へ水へ傾く
暗がりはちぎれた糸になり
かがやきつづけ うねりつづける
夜のうしろにも水のうしろにも
魂の着ける場所は無い
ただ音だけを食べ
透りすぎる
地に
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