ゆびさきを、したさきを/nm6
うわがきされるまいにちに、うしなうなんてない。おれんじのさかいめを、ふれずになぞる。ぼくらはなんにも。
すなのようにおっこちてもうとれない。
ぼくのゆびさきがふれる、しかくいやつのすきまに。
ゆびさきを、したさきを。するり、ふわり、そしてとろりとえきたいになって、にげるぼくら。みえるからさ。みえないからさ。ぎりぎりを、みようとしないからさ。ぼくらはみかづきのむこうがわを、おれんじのさかいめを、そしてきみを、せかいを、おぼえるようになぞる。「あとじゅうねんたったら」っていって、そしていってしまっても。ゆびさきを、したさきを。いま、きもちいいということを。
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