死体の独り言/志賀羽音
白くもないぼくの首を 黒くもない少年の手で絞められた音は 霧のように散布した
青くもないぼくの眼を 赤くもない少女の靴で踏みつけられた味は 露のように甘かった
♯
(メーデー、
メーデー。)
聞こえない
♯
黒くもないぼくの足を 白くもない少年の唇から舌で撫でられた曲は 星が見えない世界のように心地良かった
赤くもないぼくの腹を 青くもない少女の傘で刺された触覚は 暗い森の木漏れ日ように欠けていた
♯
(…………、
…………。)
聞こえない
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