君と僕の世界/sironeko
、まるで門守のように、ゆらゆらと枝を揺らす柳の木がお出迎えしてくれます。
天使の羽を背に持つあの子が首を横に振っています……。
僕は……、 。
ひどく胸が痛む。
誰かが僕の名前を呼んでいる。
肩と頬に人の手の感触がして、目をあけると、ぼんやりとする視界に誰か。
瞬きをしたら涙がこぼれ落ちる。
名前を呼び返したら、彼はほっとしたように表情を和らげ、微笑む。
「ゆめ……?」
ごう、と遠く空から聞こえる音に窓を見れば、息が詰まるくらい澄んだ青を切り裂くように白い飛行機雲が一筋。
それは基地へと還る戦闘機。
希望の夢、絶望の現実。
僕が流した涙はどちらのもの……?
泣いている僕に、傍らの彼が優しいキスを落とす。
あたたかい感触に僕はまた泣いて、今を愛おしいと思い、微笑む。
大好きな君、大好きな世界、僕の居場所。
「ありがとう……」
ぎゅっと抱すくめられて、僕は何度目かの涙をこぼし笑う。
うつくしくない世界に咲き乱れる尊い感情に未来を託して。
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