女の借景/ヨルノテガム
 








広大な海洋に寝そべる岬、山へと連なり

遥か太陽は雲間から 一つ一つの波模様を

黄金色に照らし 鏡にしていく

不穏で途切れることのないクジラのような雲は

姿を変え形を変え 太陽という巨星と混在していく

炎のような目を得た雲海は怪物となりアメーバとなり

手の届かないところで蒸発浄化し、また

暗い影を伸ばして静まる


振り返った女の長い髪が雲のごとくたなびいて
女の眼差しは直線、顔は太陽であった
太陽を宿した女の後をついていく
干潮の砂土を裸足で歩む
白い女のふくらはぎを目安に女を追う

彼女は巨人であり柔らか
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