神様に近い場所/蓮沼 栞
 
るんだよ

だからね

寂しくないでしょ?



唱は独りを極端に嫌がる

椅子が壊れたから

山のふもとに買いに行くって言った時も

泣き喚いて僕の袖を離さなかった

お願い

独りにしないで

お願いだから

そう何度も何度も言って

その晩唱は寝なかった

初めての事

僕の手を強く握って

涙を流してた



彼女の闇はもしかして

僕が思っているより遥かに

深く暗いのかもしれない


僕は傍にいて

手をつないでいる事しかできないから

彼女の手は離さない

何があっても離さない



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