黒/暗闇れもん
 
溢れてきそうになるのを押しとどめる
知っているのよ
どんなに飾りを施しても
身体を血が滲むまでこすり洗い落としても
水は透明にならない
いつまでも黒いままで
私以外はもう気づいているの
壊れ始めていることに
私以外は気づいているの
誰も愛せない存在であることに
私だけが
幼いあの日のおままごと遊びを続けているの
平和な日々
汚いものは無いおままごと遊び
無理するなと私を知ったかぶりした狼は
半分だけ噛み切って
満足そうに去っていった
泣いているのよ、私だけのために
誰も居ない公園で
静かな砂場で
迎えに来てくれることさえ期待していなかったあの日みたいに
私は自分を想像の世界に閉じ込めた
けれどどうして
あの日を知らないはずのあなたが
あの日、忙しかったはずの父の顔で
微笑み
愛してくれるのですか


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