旅人/BOC
 
空がまだ黒一色だったころ
ぼくは静かにいきていた

窓から見えるのは 絶望ばかりで
希望は何十年か前に 旅人が見たのが最後だという

最初から希望だったものなどない
最初は絶望なんてものは何ひとつなかったのだと 旅人は言う

砂に埋もれて 死にゆく旅人の無念を
誰が果たすことができようか

誰が愛することができようか

空がまだ黒一色だったころ
ぼくは静かに眺めていた

希望が絶望に変わる 間 を
そして絶望が希望に変わる 間 を

最初から希望だったものなどない
最初から絶望なんてものは何ひとつなかった

生み出したのは
人のこころの弱さであり 醜さである
      強さであり 美しさである



今は亡き 
          
    旅人よ
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