すでにいまここが/くろね
 
薄く醒めた夜
いつも話しかけては
ほどけていくような

曖昧な痛みは
そっと舌を噛んで
気付かない振りをする

斜面は転がるために
あるのかもしれないね、と
君は云った

すでにいまここが
君と僕がじゃれあっている波打ち際
黒い砂を分け合って
壊れた音を奏でた風


遠く沈む月
微かに滲んでは
見えなくなるような

丁寧な裏切り
ずっと息を吸って
生きている振りをする

時間は苦しむために
あるのかもしれないね、と
僕は思う

すでにいまここが
君と僕がじゃれあっている波打ち際
君というのは世界で
底に溜まるは寂れた雨

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