どこまでも虹を/新守山ダダマ
 
雨上がり
郊外から都心へ向かう中央線から見えるのは
俺の気持ちを映したような澱んだ空
と思ったらそこには虹が架かっていた
濁ったブルーを切り裂くような鮮やかな七色
まるでささやかな希望
近くでは子供が窓に顔を貼りつけている
俺も顔を貼りつけはしないけどまじまじと虹を見る
武蔵境、三鷹、吉祥寺…電車は進み、
景色は動いていくが虹だけが動かずに見え続ける
いや虹も走っているのだ 中央線と並んで
オレンジとレインボー 競い合う二つのライン
でも都心に近づくにつれてさらに汚れていく空気の中で
虹は息切れしたかのようにどんどん縮んでいく 霞んでいく
虹よ負けるな! どこまでも見え
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