ふるさと/
AKiHiCo
今生は酷や哀しやと
声にも出さずに蒼穹の
漂う雲を眺めけり
積みたる石を
崩す鬼の声を聞きて
慌てて小さな掌で
守るも無情なり
散らばる小石を集め
また積みたる塔に
思いを馳せるも遅し
一重積んでは父のため
二重積んでは母のため
三重積んではふるさとの
揺れる塔こそ我の心情なり
還りたいと願うはふるさとの
育ち育った空気に触れたいと
叶わぬ願いは三途を渡らん
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