道/沢村 俊輔
僕と
彼女は
横に並んで座っている
彼女の手に
もう一度触れてみようか
彼女はそ知らぬ顔で両手を隠した
交差点を
ひとつ ふたつ 通りすぎていく
貝のように閉ざされた空間が走っている
BGMも二人には いらなくなっていた
二人の好きな曲は 二人の嫌いな曲
ハンドルを握るぼくの両手は
彼女の熱い血潮を感じ汗ばんでいる
たまらずぼくは
アクセルを踏み込むしかなかった
トルクの回転数が急速にあがり
どくどく どくどく と
ぼくの鼓動がオーバーヒートしてゆく
バックミラーを見ると
アクセルを踏み込めば踏み込むほど
うしろへ
うしろへ
道は遠のいていく
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