賞味期限(改)/伏樹
まま、そのまま。
表情など見えないようにとカーテンを引きに行く
窓辺には花瓶と決まったように置かれ、刺されている花はいつも違った
用事が終わりそうになる頃には、やはり白い壁の肌には染みがうごめいていた。
この影を拭うために何枚ものカーテンを既に引いていた。
自動販売機の周りで季節が踊っている
人気のないここだけは、冬が過ぎてもホットココアが売られる
「そう、まだ春じゃないよね」
ただ言い聞かせていた。
そうすることが私を私のように生かし続けている、と
本当は、そんなことはひどい思い込みだと分かっている
人差し指がホット
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)