賞味期限(改)/伏樹
 
まま、そのまま。


 表情など見えないようにとカーテンを引きに行く
 窓辺には花瓶と決まったように置かれ、刺されている花はいつも違った
 
 用事が終わりそうになる頃には、やはり白い壁の肌には染みがうごめいていた。
 この影を拭うために何枚ものカーテンを既に引いていた。


自動販売機の周りで季節が踊っている
人気のないここだけは、冬が過ぎてもホットココアが売られる
「そう、まだ春じゃないよね」
ただ言い聞かせていた。
そうすることが私を私のように生かし続けている、と
本当は、そんなことはひどい思い込みだと分かっている

人差し指がホット
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