優しさという名の×××/キタノ
 
もしも右手と両足を失ったら、君は気遣ってくれますか。あなたが持っていて僕にないものを見て、胸が締め付けられるような思いになって目を伏せて、やっと口を開いてできる限り僕に届くように君なりの、慰めの言葉を覆いかぶせてくれますか。
        あなたはどうですか。

     あなたはどうですか。
                あなたは
 
 あなたは・・・

それを優しさと呼ぶことを、神は許してくださるだろうか。どうせ人間のあまりに少なすぎる言葉で殆ど何も捉えることはできないから、そうすることで人の生み出せる最も美しいことばにしてしまう。
鋸と新聞紙を、今すぐ持ってきて断体式をしよう。するならできるだけ多くの知り合いが横目で見ている場所で。彼らの驚きが、「優しさだ。」
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