短冊と落とし文月/虫宇宙/海里
虫の宇宙は水陸空
初夏にはもぬけのからばかり
ヤゴ、せみ、アゲハ、カワゲラ、等々
初めての空を飛ぶために
羽化は専ら月の白夜に
細い触手のカラスウリ
鬼灯点した提灯市と
朝顔だったらその夜店
閉じない食物連鎖の中の
生あたたかなヒエラルキー
命と体のあやとり、やりとり
一度は空を飛ぶために
羽化はたせしもの終わりが来れば
粘菌やカビやアリたちに
残りの体は託して去ります
ひと夏空を飛んだなら
けれどもそれは先のこと
初夏にはもぬけのからばかり
ヤゴ、せみ、アゲハ、カワゲラ、等々
もう一度空を見るために
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