夏の夜の夕暮れ/ヨルノテガム
 







 冷たい虫が脳の中を泳いでいる

 足を大蛇に巻きつかれる
 締め上げられる
 丸飲みされていく

 柳が風にゆら揺らいで
 人影が立つ

 海へ入ると息つぎしない亡霊たちの
 必死のクロールが手を伸ばし
 爪を伸ばして。

 逆走してくる対向車に
 骸骨は座っている

 太陽が二つある
 無人の街に影は焼かれる

 思わず目玉をゴロリとこぼす
 自分の目と自分の目が合う

 階段を上がれば
 曲げる膝から
 一段一段恨みの声が聞こえしゃべり出す

 片方の耳がもう腐り落ちてる

 振り返ると振り返った後ろ姿を見る見る見る

 鳥たちの墜落風景に囲まれる
 空が地に落つ

 扇風機が空を飛んでいる

 ああ
 扇風機が
 空を飛んでいく

 声声がが割割れれるるよよぅぅ











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