父さんの夢/小川 葉
 


まだ夕焼けだから
裏の公園で
キャッチボールする
球を良く見るんだぞ
そう言われてうんと頷く
僕は父さんの目玉を見ている
黒くて二つある
目玉を見てもう一度
うんと頷く

父さんが目を覚ます
目を閉じたまま
目玉焼きを食べる
父の日に贈った
新しい枕をかかえてる
僕は鞄がいいと言ったのに
母さんの意見で
結局今年も枕を贈った

次の日曜は
休めそうだと話していた
だから父さん
目を閉じたままでかまわない
動物園につれてって
遊園地にも
海にも行きたい
僕のこと
夢みたいに
忘れてもいいから
 
 
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