夜光を眺める/中原 那由多
未だ幽かに蒼い山の向こう
嵐の後の風が吹く
気だるい身体がバスタオルを引きずって
一つの光に吸い寄せられる
あれは星なのか
いや、人々の営みだ
あれは星なのか
そう、淡く儚い記憶だ
憧れることを思い出し
まだ始まらない夜に抱かれる
今は幻の最中
拾い上げては崩れゆくから
眺めることで救われる
求めるよりも求められたい時の中
もう一度はじめから
声にすれば闇は深くなるばかり
また光はいっそう輝いて
揺らぎ、語らい、孕んでは
砕け散って種となる
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