真夜中の魚/e.mei
 

 鳥が飛んでいった時
 私は水になりました」


(――ああ
 波が夢をのみこんだ
 ベルの響かない夜は珍しい
 瞳の色がかわり 空気が白くなりました 光がおぶさります
 ながされる あいされる うまれゆく いきている
 あいしてる――)


それは海のにおい 彼のにおいです 魚のにおいでしょうか
子供が石をけっていると墓にあたりました それは過去です
線路は草でもうみえません
鳥が小さな声でないています
それをきいてしまうと
一日がまた始まります
真夜中に泳ぐ魚を見失う頃に
永い一日が また
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