左手で書いたノート/光井 新
像の写真集ばかり見ていた。私はその様子が気になって、勉強に集中できなくって、ついチラチラと見てしまった。
すると、「ひょっとして好きなのか?」と言って、空いていた私の隣の席に移動してきた。
そして、慌てる私に「一緒に見ようぜ」と言うと、私にも見えるように写真集を開いた。なんだ仏像の事か、と、ちょっと安心したけど、ちょっとガッカリした。
でも、隣であまりにも楽しそうに熱弁するものだから、もしかすると仏像の事も本当に好きになっちゃうかも?
帰り際、消しゴムに彫られた阿修羅を貰った。今のところ、私の一番好きな仏像。私の宝物。
}
「う〜ん、青春してるねぇ。ヒューヒューだよ」
「カッキーン、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)