旅立ち、と未熟が吹かしたがる/ホロウ・シカエルボク
 
つぽつと雨粒のように
どこかへ行くのか、どこかへ帰るのか、行くあてはあるかい、会いたい人はいるかい、誰かを迎えに行くのかい、誰かを捨ててゆくのかい、傘をたたんで高架下に立つ、自動販売機には売り切れの表示がある、出ないと判っているのに何度か押してから隣のカフェ・オレを買った
砂糖不使用、ミルク60%、守られるあてのない約束、約束はだれを喜ばせるのだろう、果てがないのなら嘘で構わないのに




新しい列車が急ブレーキをかけた、絶望的な叫びが聞こえて――――――――









赤い雨が
少しだけ降った










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