「名」馬列伝(6) メジロモンスニー/角田寿星
ズドンと差す。そんな期待を抱かせるに充分な魅力が、当時の彼にはあった。
しかし。
菊花賞に彼はいなかった。
神戸新聞杯3着入線ののち、指骨骨折が判明。長い休養に入った。
いったん故障すると、大柄な馬体は不利に働く。体のあちこちが悲鳴をあげた。
1年に2〜3走するのが精一杯だった。
5歳の天皇賞(春)。ミスターシービーと2年ぶりの対戦。1歳下の「皇帝」シンボリルドルフの5着、9着にそれぞれ敗れる。
次走の高松宮杯では追い込み戦法を捨て、中段差しで鼻差競り落とし、久々の重賞勝ち。
かつての輝きは失われていたが、ぼろぼろの体での勝利を、誰もが讃えた。
昭和は過ぎ、平成の世に
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