原型/きりえしふみ
は彼らの周りに色濃く浮かび上がる
まるで小心者の少年が一夜にして熱弁を振るうようになった変わりようのような
烈しさで
彼らは堕ちて初めて気付くのだ
己が帯び 育てた闇の奥深さに
振り掛けた香水でちゃらに出来たと思っていた体臭のどぎつさに
『破滅したと 思っていたのでしょう? ねぇ……』
伝説の中に息づく勇気ある若者のように
原生林の中の自然の法のように
(いいえ その戒め そのものが)
『居なくなったと 思っていたのでしょう?』
私を こんなに身近に纏いながら
その 着色し易い透明を 身に帯びながら
無意識に捉えながらも
私を 知るべき者がそれと気付かず
求める者の手が それに辿り着けない
(c)shifumi kirye 2009/07/14
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