初夏のコントレックス/within
 
夏の光を受けて 
蜘蛛の巣が
ガラス細工のようにきらめき
萎れた蜘蛛が
捕らわれた羽虫のように
ぶらさがっていた

コントレックスで
乾いた喉を潤し
灼けるような暑気に身をまかせ
傾いた日差しに
伸び始めた影を確かめる

何もないようにみえる虚空にも
何もないわけではないんだと
熱気の波に押し流されないように
歩き始める

目の前に広がる世界にも
目に見えない
何かがある
だから淋しくもないし
孤独でもない

はずなのに

どうしてこんなに憂鬱なのだろう
何にこんなに絶望しているのだろう

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