冬虚/木立 悟
 

紙の下の紙
黒い森
糸電話の夜
からまるばかり


昨日と同じ日の終わりを
左目だけで聴いている
雨がたどり着くときの
ゆうるりとした火とにおい


風が風のまま風を踏み
誰からということもなく帰りゆく
半裸 闇と目
くちびるを待つ永さ


虚(そら)に立つ虚(そら) 踏みはずし
虚は高みへ高みへと降る
偽り 言葉 色 音 光
境のかたちに降りつもる























戻る   Point(3)