冬虚/木立 悟
光のうわずみ
草の行方を呑み干して
夜の鳥が鳴く
ここに居たい
ここに居たくない
願いと砂と滴の器
はばたきの影 眠りと頂
どこへゆくどこへゆく
美しさだけを切り抜いて
つながらずつながらぬ冬の道
手につもり手になる蜘蛛の紙
土の下の午後
つなぐ水彩
ひとまわり遅れ 二重に響く
区別のつかない色 音 光
無いもののように降りそそぐ
あなたは数ですか
いえ ちがいます
おそらくわたしは
ただの境です
線をつないで
一息つき
声のないまま すれちがうまま
とどめおくことのできぬまま
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