空と、砂と、無花果/HTNYSHR
 
君は突然突きつけられた証言に稍戸惑い、美化された自画像の絡繰りを曝すことでその場をやり過ごそうとする。一瞬の狼狽の中では、その証言の信憑性を疑う余裕がなかったのだろうか。そんな風に詭弁を弄しながら集中と拡散に紛れようとする癖がある。泣いたり、笑ったりしながら世界をコントロールしようとする、赤子の頃の癖が隠蔽しきれずに漏れ出ているようだ。

少し高台の住宅地にある無花果畑の実もまだ青い、梅雨明け切らぬ夏の入り口にて、くっきりと嵌め込まれたような色をした空に手を伸ばした。粘土質の土を掘って爪の中が汚れた手を。雲母の欠片が指紋の間に引っ掛かっている。

砂を撫でるのが好きだった君は、ずっと砂の塔
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