自分の不幸も蜜の味/中原 那由多
この部屋が薄暗いのは
私の居場所として相応しくあってもらいたいから
曇ってくれてありがとう
ただ忘れられなかった
南風は強く吹き込んで
すっと紙を飛ばす
私はそれを拾い上げて
必要ないとごみ箱へ投げ入れた
きっと私だって必要ないはず
愛されたければ愛しなさいと
誰が最初に言い出したんだ
騙されたとばかりにやってみて
ペーパーナイフで切り刻まれた
私は何も悪くない
偉人はもっと悪くない
もし非があるとするならば
先天的な感覚か
あるいは存在価値
ごめんなさいごめんなさい
私は土下座した
嘘つき嘘つき(結局嘘ではないのだけれど)
私は疲れて眠った
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