電車を待つ花/
高橋魚
ホームの向こうに
鮮やかな花が咲いている
緑のなかに
ひとつだけ輝いて見える赤い花
風と戯れ揺れる姿は
まるで手招きしているようだ
しかし
ここは隔てられている
それでもあなたは誘うのか
草草の作る黒い影の中
激しく輝く一等星
それは幻想だ
影の中に潜っても
あなたは遥か遠くに位置する
辿り着く頃には
わたしは潰れているだろう
線引きをするアナウンスが鳴る
わたしはそれを
反芻する
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