強い陽射しに溶け出したシミ/涙(ルイ)
 
ドーナツショップは今日も混み合っている
女子高生はイヤホンで耳をふさぎながら
ケータイをしきりにいじくってる
若い母親は子供をあやしながら
育児雑誌をめくってる
バイトの女の子たちは絶えない客足に
それでも笑顔を忘れないでいる
そうしてあたしはといえば
一杯150円のアイスコーヒーをストローでかき混ぜながら
窓の外をぼんやりと眺めていた



絶え間なく流れる人ごみを避けるように
ベンチで寝そべっているあの老人は
一体いつの頃からそうしているのだろうか

彼にも親がいて兄弟姉妹がいて
守るべき人のために汗を流したこともあっただろうに

行き交う人々は 誰もあ
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