傷/回想/
千月 話子
二本並んでいる
僕らはいつも
すり傷を見知らぬうちに作ってしまう子供
冷たい水に肌を浸して
洗ってしまえば 傷はいつか消える
兄さんの傷は いつまでも跡を残したままだった
僕は 日々成長していくのに
柔らかく触れた
指の感触を まだ忘れられない
自分の親指を
跡が付くまで きつく噛んでみても
優しく諭す兄さんは
もう どこにも居ないんだ
どこにも・・・・・・・・・・。
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