今が楽しければそれでよくないけれど/中原 那由多
 
燕たちは毎日忙しそうに
低空飛行で私の横をすり抜けていく
目にも止まらぬ速さに遅れをとり
ぶつからないと分かっていながら避けようとする
よくもまあ人身事故を起こさぬものだと感心しながら
前方の信号無視をしていく自転車に目が止まる
とっとと人身事故を起こせばいいのにと鼻で笑って
他の人とは少し違う道で登校する


あの人とあの人を足して2で割ったらきっとあの人になる


試してみたい?


駄目だよ、妄想だけにしておかなきゃ


理想を崩すにはできるだけ凄惨な現実のほうがいいはずだから
人は全うな真実の受け入れを拒んで
非現実を本物にしようと願っている


うん、私もその一人


百万通りの道があれども
目的地は一つしかないから


みんなは必死になるんだね



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