マリーノ超特急/角田寿星
シフト
海に囲まれたプラットホームに降りたって
沈んでしまった過去をのぞこうとした
ぼくらはもう
天気と風の話しかできなかった
ときおり海をこえて
遠雷のような地鳴りがきこえてくる
どおおん ごごごご
あれは水に浸かったビルヂングの崩落する音
きみは突然両手を太陽にかざし
みじかく イグアス!
さけぶ
しずかな
南に帰郷する車窓でそんな紀行文を読んだ
ゆっくりとはしる海洋特急は
どこまでもどこまでも海で
次の到着時刻もわからないまま
ぼくらはやがて浅いねむりにおちる
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