モカマタリ/小川 葉
 
 
 
同郷の人と
東京で会った
訛りが残っていた
変わりなくて
安心した
けれどモカマタリを注文する時
様子が違っていた

また昔のように話す
しばらくして
モカマタリが運ばれてくると
また様子の違う
彼女を見て
わたしはふたたび凍りつく

知らない駅のホームまで
見送りに来てくれた
見えなくなるまで
窓越しに手を振った
やがて見えなくなった
その後の
彼女のことばかり考えていた
 
 
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