夢精卵。/末吉剛士 (from send-ence)
 
なところで、勝手に反応してしまう。

それはそれで気持ちがよいものであり。

カノジョは濡れ、ボクは射精した。

 

出たものは、限りなく黒に近い

白濁色のボクのエゴだった。

 

せめてカノジョに届かないように

0.1mmの紫色のフィルターに

何もかも遮断してほしかった。

 

悪いことに。

ボクの心を見透かしたように。

無気力と無感動だけは透過してしまったようで。

 

カノジョは悲しげに、少し微笑んだ。

 

こんなことなら

全てを届けたほうがよかったね。

 

いや、何も届けないほうがよかったのかな。

 

最後にカノジョにそっとキスをした。

塩味にきづく。

その夜、涙ではじめて体液を交換した。

 

------------------------------------------------------------------------

夢精卵。  正直、あなたを想うと今でも胸が痛いんだ。

戻る   Point(3)