夢精卵。/末吉剛士 (from send-ence)
なところで、勝手に反応してしまう。
それはそれで気持ちがよいものであり。
カノジョは濡れ、ボクは射精した。
出たものは、限りなく黒に近い
白濁色のボクのエゴだった。
せめてカノジョに届かないように
0.1mmの紫色のフィルターに
何もかも遮断してほしかった。
悪いことに。
ボクの心を見透かしたように。
無気力と無感動だけは透過してしまったようで。
カノジョは悲しげに、少し微笑んだ。
こんなことなら
全てを届けたほうがよかったね。
いや、何も届けないほうがよかったのかな。
最後にカノジョにそっとキスをした。
塩味にきづく。
その夜、涙ではじめて体液を交換した。
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夢精卵。 正直、あなたを想うと今でも胸が痛いんだ。
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