梅雨明け前/
……とある蛙
梅雨明け前の海
太陽は精を出しているが
海から吹いている風は
涼しさを運ぶ
少し汗を拭ってはいるが
心地よい空気の中に
忘れていた夏を感じる。
子供の時以来の夏に
僕は捕まったのかもしれない
海水浴という言葉の響き
砂浜の匂い
岬の崖の上にふわりと浮かぶ
鳶(トンビ)2羽
わくわくしながら遊んだ日々
今、革靴で歩く砂浜の砂は
自分を現実に戻す
海はまだ夏ではないのだ
感傷にふける暇は無く
憂鬱な日常が再開し、
一日一日が過ぎてゆく
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