梅雨明け前/……とある蛙
 

梅雨明け前の海
太陽は精を出しているが
海から吹いている風は
涼しさを運ぶ

少し汗を拭ってはいるが
心地よい空気の中に
忘れていた夏を感じる。
子供の時以来の夏に
僕は捕まったのかもしれない

海水浴という言葉の響き
砂浜の匂い
岬の崖の上にふわりと浮かぶ
鳶(トンビ)2羽
わくわくしながら遊んだ日々

今、革靴で歩く砂浜の砂は
自分を現実に戻す
海はまだ夏ではないのだ

感傷にふける暇は無く
憂鬱な日常が再開し、
一日一日が過ぎてゆく


戻る   Point(5)