不眠症のうた/遊佐
 

朝になれば兄ちゃんは何事もなかったかのようにパチンコ屋に出かける

左隣はカラオケ喫茶で懐かし過ぎる名曲の数々を
爺さん婆さん達が巧く音を外して聴かせてくれる
外で会うと、皆挨拶をしてくれる
歌声は凶器だけれど、根はいい人達だ

不意に死にたいなんて思う時があり
このまま死んでしまおうかなんて思う時がある
そんな時に限って
腹が減ったりして
そそくさとラーメンを作ったりする
お腹はいつも正直者だ


僕は何故此処に居るのだろう
此処より素敵な場所は沢山あるのに
そんな事を考えながらまた夜更かしをする
でも本当は何も考えてなんていなくて
ただ眠れないだけの毎日で
所謂、不眠症ってやつ

夜が好き
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