幸福島の話/あおば
090710
幸福と叫んだら
幸福になった
そうだ
幸福だ
福だ!
福だ!
幸せを忘れた狸の群れが
子狸を探して旅に出る
物語はそのようにして終わりを告げ
幸せ者たちは
しずかな眠りにつく
いつまでも寝返りを打っているのは
物語の作者だけなのを
中天の月は哀れむように
青い光を一層強めて覗き込む
擬人法に長けた侍が
戸口で合図をして
一斉になだれ込み
作者を芋刺しにする
その悲鳴はどこにも届かない
一瞬の早業であった
今夜はそれでおしまい
子狸たちの勉強会は
夜明けにはお終いとなり
子供たちに姿を変えて
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