退廃の舞/木屋 亞万
終末論が一面を飾る新聞が、離散して
風に吹かれ、色の剥げたポストに身を預ける
濃い雲に覆われた空、黒い湿度に包まれたビル街
暗色のスーツを着た男たちが、
非常口を求めるように赤提灯を探しさまよう
酒を聖水のようにありがたがって、
ちびちびと飲んでは、自分の足元を見失っていく
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難解な格言たちは嫌われて、
狂った歌に酔うライブハウスの若い者
活ける箱の中で平衡感覚を失い、音の波に乗る
「俺を殺していいのは林檎さんだけだぜ」
拡声器にすがりつくように若い者は言った
誰もお前を殺しはしない、逝きたきゃ勝手に逝
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