どうして、また/ホロウ・シカエルボク
ない、一階の、多分化粧品ばかりを売っていたフロアーを真中まで進むと、エスカレーターの残骸が現れる、そうだ…地震で壊れて、そのまま閉店まで動くことはなかった―耐震構造だのなんだのが問題になって、客足が遠のき、閉店したのではなかったか?まあ、あらゆることの原因はひとつではない、きっと俺達には判らない部分でのことがたくさんあったのだろう―ダリの絵のようなパースの狂ったエスカレーターを昇った、俺達は―俺達は何人でそこに入ったのか?いつ思い出そうとしても思い出せない、俺は、本当はひとりでそこに入ったのだろうか?なぜ、そこの記憶だけがはっきりしないのだ…パースの狂ったエスカレーターを馬鹿騒ぎしながら昇り、二階
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